今回は、患者へ身体抑制をするということに関して看護師の視点からお話しします。
どのような人に向けての記事か
・患者が抑制帯で縛られるということに疑問がある人
・なぜ、抑制帯を使用する必要があるのか知りたい人
・身体拘束に対して看護師がどう思っているか知りたい人
今記事を読むと、医療者の抑制帯に関しての考えがわかります
身体的拘束の定義
病院では、抑制帯という身体拘束のための道具を使用して抑制をしています。
このようなイメージですね。これは腹部のみですが、状況によって、他に上肢・下肢・肩なども追加で使用されることがあります。
最近では国を挙げて「身体拘束をしない看護」の取り組みも始まっているようです。現に、拘束は一切しないという病院もあるようです。
どのようなときに身体拘束を行うのか
- 意識障害等がある患者をベッドから転落させないため
- 点滴の管、経管栄養等、チューブ類を自己抜去させないため
- 他者への暴力行為や迷惑行為を防ぐため
このような理由が一般的でしょうか。
患者を抑制することに対して僕の考えを述べます
大前提として、患者を抑制することがよいことであるとは思っていません!
しかし、生命という問題が関わってくる場合、必要なことであると思っています。
脳神経外科で働いていた時のことをお話しします。
頭の手術を行った患者は、点滴、尿のカテーテル、SBドレーン、腰椎ドレーン等、様々な管が身体に入った状態で帰ってきます。全身麻酔下で手術を行い、麻酔から完全に醒めるまでには時間を要し、意識が朦朧とした状態となります。
高齢者では、術後、せん妄という意識の障害も起こる可能性があり、自身のおかれている状況がわからず、管類を自分で抜いてしまったり、ベッドから起き上がってしまう等の危険性があります。
管を抜くことで出血したり、適切な治療が行えない。ベッドから転落し頭を打つことで、死亡してしまうことも考えられます。
医療者は、それらのことを天秤にかけた上で、身体抑制をすることを選ぶのです。
しなくてもよい身体抑制をすることは絶対にありません!
精神科においては、抑制を開始する前、カンファレンスを実施し、抑制をすることが本当に妥当であるのか検討をします。また、抑制をすることになれば、褥創ができないようにこまめに体位変換を行い、皮膚障害等にも注意をして観察をしているのです。
最近では、NHKの番組「クローズアップ現代」で、抑制をすることが、まるで「悪」であるかのごとく放送していたようですが、現場の声や実態をしっかりと取材をしてほしいと思いました。
家族が患者がかわいそうだからと勝手に抑制帯を外し、患者がベッドから転落したり、大切な管を抜いてしまったりと、このような事例を聞くことがあります。その際、看護師の責任であると・・・家族は言いました。
もちろん、抑制をして欲しくないという家族の思いはわかります。
しかし、医療者も最善の方法を検討して、実施していることをどうか分かって欲しいと思うのでした。
まとめ
本日は、看護師の目線から身体拘束についてお話しさせていただきました。
倫理的な問題が絡んでいる難しい問題ですね。
それでは
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